MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第21話

―――横須賀基地施設地下――――

・・・カッカッカッカッ・・・・・コッコッコッコッ・・・・・・

二種類の靴音が廊下に響く
黒のスーツに身を固めた知的な女性と
その横を赤い髪をポニーテールにして赤い服に身を包み
左眼にアイパッチをしたハニュエールが廊下を歩いている

 「…秘書さんアタシらこんな所へ来ていいのかい?」

 「チェルシ-で結構ですミスレッド」

 「…アタシもその呼ばれ方好かないんでね…オカユでいいさ」

 「ではそのように」

 「それでチェルシ-質問の答は?」

 「社長の指示ですのでこの事態は幸いでした」

 「あっそう……火事場泥棒な気分だよ」

 「…申し訳ありません」

先程まで無機質な答え方だったが
チェルシ-は珍しく済まなそうにそう言った

 「まぁアンタが謝る事じゃないさ、おたくも命令じゃ仕方なかろう?
  アタシはアタシのボスに言われたとおりアンタの護衛するだけさ」

 「有難うございます」

そう言いチェルシ-は頭を垂れる

・・・カッカッカッカッ・・・・・コッコッコッコッ・・・・・・

 「しかし…いくら何でも様子がおかしくないかい?」

 「おかしいとは?」

 「ドサクサまぎれに降りてきたのはいいとして先刻から
  人が一切居ないてのはどういう事だろうねぇ?」

 「…そういえばそうですね」

足を止める事は無かったが二人に緊張が走る

 「ん?」

オカユと名乗ったハニュエールは何かに気付き足を止め

 「待ちなチェルシ-」

腕を伸ばしチェルシ-の行く手を遮る

 「…どうしました?」

・・・・チャッ・・・・

オカユは手の中にヴァリスタを出し構えると
廊下の突き当りまで慎重に近づき曲がり角を覗き込む

 「……なんだいこれは?」

覗き込んだ廊下の床に幾つもの白衣や軍服が散乱していた

 「…集団ストリップショーでもしたのかね?」

おどけた口調で床に散らばる服を摘み上げる

 「確かに異常ですね」

チェルシ-が辺りを見渡しながらそんな事を言っていると

・・・ババババ!・・・・ババババババババババッ!!

廊下の奥から銃声が聞こえてきた

 「何だ?」

音がする方に目を向けるとその銃声は近づいてきてた

 「ぅ…うわぁぁぁ!!…助けてくれぇぇぇ…!?」

銃声が止み替わりに悲鳴が廊下に響く

・・・・カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!

そして此方へと足音と共に近づいて来たのは一人の軍人だった
だがその顔は恐怖に引きつり青ざめていて今にも倒れそうだ

 「嫌だ嫌だ…消えたくない…死にたくない
  助けて…助けて…助けてくれェェェェェェェェェ!?」

 「落ち着け!一体何が…」

オカユが落ち着かせようと声をかけるが・・・

・・・・・・ヒュッ・・・・

 「!?…危ない!後!!」

 「えっ…?」

オカユの警告に軍人は後ろを振り向く

・・・・ザシュッ・・・・!!

 「グガッ!?」

巨大な針のような物が軍人の首に突き刺さる

・・・・シュウウウウウウウウウウ・・・・!!

軍人は体全体から白い蒸気のような物を噴出しながら

・・・・・バサッ・・・・・・!

衣服だけを残し消えてしまった

 「なっ!?」

オカユは驚きを隠せない表情になる

・・・・ペタッ・・・・ペタッ・・・・・ペタッ・・・・

 『ホゥ?まだエサがいたか?』

・・・・ペタッ・・・・ペタッ・・・・ペタッ・・・・・

 『女カ…マぁ贅沢も言ってラレん』

廊下の先に立っていたのは大きな尾を持ち
爬虫類を思わせる瞳と肌の人型の化物だった



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